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  循環器内科  三角 郁夫  


 介護とは、サービスを受ける人の自立とQOLの向上のために行われます。例えば単におむつ替えに終わらず、自分で排泄できるように手伝うことです。医療・看護は病気と障害をなおすことが主体ですが、介護は退院後の生活と密接に関わり、援助していく、重要な仕事です。従って、その人の病気や性格、家庭環境について充分把握する必要があります。今回は、高齢者に多い心疾患とその治療・介護について述べます。




日本人の高血圧は年齢とともに増加します。
<原因>
  不明が多いですが動脈硬化などにより、血管抵抗が上昇することも原因です。脳卒中・腎不全・狭心症・大動脈瘤などの合併症を起こします。
<治療>
  塩分制限。日本人の塩分摂取は12-14g/日と多くなっています。食事介助の際、醤油・漬物・梅干・味噌汁を減らす工夫をしましょう。また、減量や運動療法も効果があります。それでも下がらない場合は、降圧薬の内服が必要です。




心臓のポンプ作用が低下した状態です。
<原因>
  陳旧性心筋梗塞・弁膜症・高血圧・心筋症などさまざまです。
<症状>
  心拍出量低下から乏尿・倦怠感。肺鬱血から呼吸困難。右心不全から浮腫・肝腫大。他に聴診で呼吸性ラ音、尿量減少、体重増加など。
<治療>
  原疾患の治療。心不全の治療としては、安静にしてベッド挙上、高血圧に準じた塩分制限、水分制限。内服薬は利尿剤や血管拡張剤など。
  入院中であれば点滴や酸素投与。




<原因>
  冠動脈の狭窄や閉塞。
<症状>
  胸痛・下顎や肩の痛み・心窩部痛など。
<治療>
  安静とし、ニトロペン舌下。症状が改善しなければ急変の危険もあるため救急車を呼びましょう。病院では、点滴や冠動脈造影後、風船治療(PTCA)や冠動脈バイパス手術などが必要な場合もあります。




<原因>
  心臓弁膜症など器質的心疾患でおこりますが、正常の人も年齢とともに心房細動の頻度が増加します。
<症状>
  動悸、息切れなど。心房細動は心臓の働きが低下するのみでなく、左房内に血栓を形成し、脳梗塞など塞栓症を合併します。
<治療>
  心不全がなければ、塞栓症の予防が主体です。脱水に注意。血栓予防にワーファリン内服を行います。薬のきちんとした管理が必要で、1〜2ヶ月に1回は必ず採血で投与量を調節します。効きが弱いと塞栓症を起こしやすく、効きすぎると、脳出血や消化管出血などの危険な合併症をおこすので注意が必要です。