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  呼吸器内科  和田 正文  


 今年の初め、新しい感染症が生まれ世界各国に感染拡大しました。
 高速交通網の発達した現代では、国境を越え日本でも流行しても不思議ではありません。

 この新規感染症の重症急性呼吸器症候群SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome)は、この冬、再流行し感染拡大の危険があるため再度注目されています。また、インフルエンザとともにSARSが流行した場合、感染予防が困難になると考えられ、感染爆発のおそれがあります。

 SARSという病気は、まだ発見されて間もないため、すべてが研究の段階です。動物より人間に感染した新型のコロナウィルスが原因であるということがわかってきました。コロナウィルスはもともと風邪ウィルスですが、突然変異を起こしたようです。潜伏期間は2〜7日間、症状は発熱(38.5℃以上)、痰のでない咳、筋肉痛、悪寒、戦慄、頭痛等であり、かなりインフルエンザの症状と似ています。

 インフルエンザと違う点は、呼吸困難感がつよく、胸部レントゲンで片側もしくは両側の肺炎を認めることです。今年の初め流行した地域は、トロント・シンガポール・中国広東省・山西省・香港・台湾・ハノイ・ロンドン・アメリカの地域でした。今回はどこで流行し、どう広がっていくかは予想不可能です。

 SARSに感染した患者さんの多くは、医療スタッフまたは、患者と接触した家族の方であり、感染した人と濃厚に接触したためと考えられています。しかし、同じフロアーに居ただけで感染した人もいるため、一般の方も十分注意が必要です。

 約80〜90%の方は、自然に治っていますが、残りの少数の方は重症化し、人工呼吸器による補助呼吸が必要となられました。しかも、死亡率は11%であり、他の感染症よりも高い致死率です。重症化し、亡くなられた方々は、もともと心臓病、糖尿病を持っていたり、高齢者だったりが多いようです。恐ろしいことに65歳以上の方は、約半数の方が亡くなられています。

 このSARSに対しての治療は、研究段階でありまだ治療薬・ワクチンは開発されていません。SARS検査に関しては開発されつつあります。発病した場合は、二次感染予防(抗生剤投与)や合併症に対する治療、対症療法(酸素投与や輸液)が主体となります。感染形式も今もなお不明な点が多く、飛沫感染(咳、くしゃみで空気を介して)や接触感染(患者の分泌物・痰など)と考えられています。

 まだ不明な点が多い病気ですので、今のところ予防しかありません。手洗い・うがい・マスクの着用、感染を確認されている地域・感染の疑いのある人に近づかないことが大切です。もう一つ重要なのが、インフルエンザワクチンを接種しておくことです。(症状が似ているインフルエンザの流行を押さえるのが目的です。)

 もしも、感染した可能性がある場合(流行地域から帰国して、発熱・咳があるとき)は、病院に早めに受診してください。受診の際は必ず医療機関に電話をしてから病院を受診してください。移動するときは人混みをさけたり、マスクを着用したりなど、他の人にうつさないように気をつけてください。旅行歴、症状でSARSの疑いがある方で、胸部レントゲンに異常のある方は、入院治療の必要があります。

  最後に、 予防策と注意点について述べます。
  @手洗い・うがい・マスクをする
  A流行している地域に行かない
  Bインフルエンザワクチンを受けるといった、予防が第一です。

 特に海外旅行される方は、テレビや新聞でSARS情報を確認して上で旅行してください。SARSの可能性がある場合、すぐに保健所に相談してください。病院を受診する際には、必ず病院にあらかじめ電話で連絡して受診することをお願いします。SARSの疑いがあれば、一般の患者さんとは別の場所での診察となります。疑いがあれば、感染を拡大させないためにも、人混みをさける必要があります。医療機関の指示を仰ぐことが大切です。