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  外科主任科長  山本 真一(日本消化器内視鏡学会指導医)


 ESDとは、Endoscopic Submucosal Dissectionの略で、内視鏡的切開剥離術という、早期癌に対する最新の内視鏡的治療です。
 従来の内視鏡的粘膜切除術では、切除できる病変の大きさに限界があり、また、狙った範囲を正確に切除するのが難しいという欠点がありました。そこで、狙った範囲が確実に切除でき、大きな病変も切除できるように開発された手技がESDです。

 ESDにも欠点はあります。手技が複雑で難しいため習熟するのに時間がかかること、切除に時間がかかること、出血の危険が高いことなどです。ESDの手技は、使用する道具などで、施設や術者の間で若干の違いがあります。


 当院のESDの特徴は、消化器外科医がESDに携わっていることです。
 一般的には消化器内科の先生が行っている施設が多いのですが、切開、剥離、止血といった手技は、外科の手術の際にいつも行われているものであり、内視鏡で行う場合でも共通点が多く、応用できることが多いので、内科の先生とは少し違った視点で行うことが出来ると考えています。

 手術時間は、病変の部位と大きさによって変わりますが、大体1時間から3

ESD手術切除検体
  がんの範囲

(病理診断結果)
時間程度です。この間、内視鏡を入れられたままですので、大変きついと思われるかもしれませんが、当院では、手術室で麻酔科の先生に全身麻酔を行っていただくことで、時間や苦痛を感じずに治療を受けられるようにしています。

 手術では、患者様に出来るだけ安全に、そして苦痛が少なくなるように、麻酔が大変重要な役割を占めます。ESDは、他の施設では内視鏡室で鎮静剤を用いて行われることが多いのですが、私たちは内視鏡を用いた立派な手術であると考えていますので、麻酔にもこだわって行っています。

 手術室で麻酔専門の先生が麻酔を行うことにより、安全性は格段に向上いたします。出血については、血管を確実に凝固していきますので手術中の出血量はきわめて少なく、輸血が必要になることはまずありません。

 また、切除後に見えている血管を丁寧に凝固することで、後から出血した経験は現在までのところございません。ESDの後は、切除した部分が人工的な潰瘍となりますので、潰瘍に対する治療が必要となります。

 早期癌の治療に大きな進歩をもたらしたESDですが、大切なことは、ESDで治るような早い時期に癌を見つけることです。このような早期の癌は、全く症状がないことがほとんどですので、すすんで定期的に(上部消化管は年1回、下部は2年に1回位)内視鏡検査を受けるようにしてください。