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てんかん発作の診断と治療について

荒尾市民病院脳神経外科  不破 功  


 「てんかん」は、人口1000人に対し、およそ5〜10人の割合で発生し、決してまれな病気ではありません。全国で約100万人の患者さんが罹患されていると言われています。小児と高齢者に多い病気ですが、全ての年代でおこります。

 脳の神経細胞は、極めて弱い電気信号のやりとりをしています。この信号の流れに異常が生じて、多数の神経細胞が一度に過剰な信号を送ることがあります。この際におこる、さまざまな症状がてんかん発作です。

 手足にひきつけがおこり意識がなくなって、突然その場で倒れてしまうような発作のみがてんかんと思われがちですが、一瞬物を落してしまう、あるいは単にぼんやりした状態になる、無意識のうちに行動するなど、いろいろな種類のてんかん発作があります。

 頭部外傷や脳卒中などで脳に傷がついたことによりおこることが多く、これを「症候性てんかん」と言います。この症候性てんかんは、高齢者に多くみられることから、最近当院でも増加傾向にあります。一方、小児や若年者では、上記のような脳の傷がはっきりしない「真性てんかん」が多く見られます。遺伝的要因のある方はむしろ少なく数%と言われています。

 意識消失やけいれんをおこして来院される患者さんには、まず血液検査や心電図検査を行って全身の病気がないかチェックします。次に頭部CTやMRI検査を行い、脳腫瘍や脳卒中がないかどうか調べます。MRIでは小さな脳の傷の有無や血管の状態を知ることができます。さらには、脳波検査を行い、異常な電気信号が認められるかどうかを検査します。

 治療は薬物療法が中心です。わが国でも、ここ数年の間に有効性の高い、しかも副作用の少ない薬剤が相次いで承認されており、治療がやりやすくなってきました。原因をきちんと明らかにし、医学的根拠にもとづいて、発作のタイプに合った薬剤を選択します。薬物療法により、約5割の患者さんで発作が完全に消失し、約2割の方で発作回数の著しい減少が得られると言われています。

 てんかんの診断が下されても決して悲観する必要はありません。根気よく、適切な薬剤を服用することで、多くの患者さんは普通の社会生活を営むことが可能です。お困りのことがありましたら、脳神経外科にご相談ください。



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